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風を感じて・・・

映画「おくりびと」

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所属する東京のオーケストラが解散し職を失ったチェロ奏者の大悟は演奏家を続けることを諦め、妻の美香を連れて故郷の山形に戻ってくる。早速、求人広告で見つけたNKエージェントに面接に出かけ、その場で採用になるが、それは遺体を棺に納める納棺師という仕事だった。戸惑いながらも社長の佐々木に指導を受け、新人納棺師として働き始める大悟だったが、美香には冠婚葬祭関係の仕事に就いたとしか告げられずにいた。

映画を観てこんなに自然に涙が出てきたのは、今年はじめてです。
まわりの人も結構涙を流していたようですが、私もそうですがいい涙だったと思います。
本木雅弘演じる大悟の、納棺師として一生やっていく自信と誇りを持つまでの心の動きがとてもよく表現されていました。納棺の儀を行う所作はとても美しく、静謐で神々しいものがありました。そしてご遺体に向けられる優しい眼差し・・。
自分の大切な人たちや、自分自身も大悟たちのような納棺師に旅立たせてもらいたいと思ってしまいました。
誰もが「おくりびと」であり、いつかは「おくられびと」になるのですが、亡くなった人とお別れをするというより、新たな旅立ちを見送るのが、「おくりびと」の役割なのかな、と思いました。同級生の母親である銭湯のおばちゃんを見送るとき、銭湯の常連客が死とは門である。門を通って旅立っていくのを見送るのだと。だから、「いってらっしゃい。また会おう。」と見送るのだと。
そんな風に考えたら、「死」というつらい別れも少しは違ったものになるかもしれません。スピリチュアルの世界でも、魂が故郷に還るのだといいます。

また、ところどころのシーンに「生」と「死」が描かれています。
この映画の中では、白子やチキンを美味しそうにいただくシーンが出てきます。
そして「食べること」は、他の命をいただくことだと言っています。
他の命をいただくことによって、人はみな生かされている・・。
だから「食べる」という行為は「生」につながっているのですね。
これは、「ベーコン」という本や、映画「いのちの食べ方」と通じるものがあります。
こういったことは、小さい時からきちんと教えるべきことかもしれません。
そうすれば、「命」の尊さも理解できるのではないでしょうか。

映画の中で、美香が大悟の仕事を知って「恥ずかしい。」とか「汚らわしい。」からやめて欲しいと言います。でも、実際に大悟の仕事を目の当たりにし、最後には「夫は納棺師なんです。」ときっぱり言い切ったところに夫が納棺師であることへの誇りを持ちつつある美香の姿が見えました。

自分や身近な人の「死」を考えさせられるとともに、「生きること」をも考えさせられます。そして、観るものを優しくしてくれるとても秀逸な映画です。
邦画も最近いい作品が多いですね。
日本的で、ある意味邦画らしい邦画だと思いました。
また、BGMで流れるチェロの音色がとても心地よくて。
久石さんの音楽も心にしみて涙が出ます。
四季おりおりの山形の風景もとても素敵です。

それにしても、本木雅弘の納棺師姿はなんて美しいのでしょう・・。
by crescent28 | 2008-09-20 22:49 | 映画・DVD
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真帆片帆、どんな状況でも風をしっかりと感じて、毎日を前向きに生きていけたら、と思っています。日々の暮らしの中での思ったことや感じたこと、私のおすすめを紹介していきます。

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プロフィール
【クレッセント】
東京都内在住
趣味:読書、映画鑑賞、旅行
はまっていること:ピラティス、スピリチュアル、癒し系
性格:好奇心旺盛で、こうと決めたら突っ走る猪突猛進タイプ。
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