風を感じて・・・

映画「さよなら。いつかわかること」

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ホームセンターで働くスタンレーは、二人の女の子の父親。母親は陸軍軍曹として、イラクに赴任中だった。長女のハイディは、父親のいない時に、こっそり戦争のニュースを見ていた。スタンレーは、母親を恋しがる娘たちとうまく接することが出来ず、いつもぎこちなく食卓を囲んでいた。ある日、妻が亡くなったという報せが届く。突然の妻の死を伝えることが出来ないスタンレーは、娘たちと小旅行に出かけることを思いつく…。


戦死した母親の訃報を娘たちに伝えるべく旅に出る父娘の話です。
娘たちが、そして父親自身が、母親、妻の死を受け入れ家族再生のための心の旅路・・。
母親の単身赴任中の父娘3人の暮らしは、どこかぎこちなく距離があるように見えるのですが、この旅を通してぶつかりあいながらも、少しずつ距離が縮まっていくのです。夜眠れないという長女ハイディには、眠れない時はお父さんを起こして一緒に話をしようともちかけます。また、ハイディが宿泊先のホテルの近くで少年からもらったタバコを吸っているところを見つけてしまい、その後怒るのではなく一緒にタバコを吸おうというのです。そしてタバコを吸ってむせるふりをして、娘に心配させタバコを吸うどころではなくしたり。

母親の死を娘たちに伝えなければと思いながら、どうやって伝えればいいのか途方にくれる父親。自分自身もまた妻の死をなかなか受け入れられずにいます。その葛藤がとても心を打ちます。

旅の最後に、海で父親が娘たちに母親の死を告げるシーンでは、波の音にさえぎられて父娘の会話が観客には聞こえません。でも、台詞は聞こえなくても、三人の心情は痛いほど伝わってくるのです。もちろん観客それぞれの感性で台詞は心に響いているのだと思います。

全体を通して、父親は妻の戦死を意義あるものとして捉えています。でも、戦争に疑問を抱くハイディや、戦争や政府に不信感を隠さない叔父のジャック。この映画には、戦地や戦闘の場面は一切出てきませんが、長引くイラク戦争の中、明らかにイラク戦争の意義を観客に訴えているような気がします。この映画は、母の出征がテーマとなっていますが、実際にアメリカの軍兵士の14.3%は女性であり、そのうち約4割の女性兵士に子どもがいるそうです。さらに昨年11月末までにイラク戦争で93名の女性兵士が戦死しているのだそうです。もちろん女性兵士に限りませんから、この映画のように実際に残された遺族の喪失感を考えると、胸が締めつけられる思いがします。

この父娘3人が母親の戦死という辛い現実をしっかりと受け止め、これからは前向きに生きていってくれるであろうラストに安堵感を覚えました。
by crescent28 | 2008-05-02 20:04 | 映画・DVD
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真帆片帆、どんな状況でも風をしっかりと感じて、毎日を前向きに生きていけたら、と思っています。日々の暮らしの中での思ったことや感じたこと、私のおすすめを紹介していきます。
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プロフィール
【クレッセント】
東京都内在住
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はまっていること:ピラティス、スピリチュアル、癒し系
性格:好奇心旺盛で、こうと決めたら突っ走る猪突猛進タイプ。
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